|
【症例4】 14歳 男性 脇の痛み |
中学校の野球部で投手を勤めるRYさんは、一週間前、投球練習中に左腋に激痛が生じ(左利き)投げることが出来なくなりました。RYさんの症状は日常生活では何等支障なく、肩の可動域も全て正常でした。しかしながらその症状は、軽いシャドウピッチングで腋窩の後壁と肋骨に沿って発生しました。
それはコッキング期から加速期に移行した瞬間に発生します。このことからRYさんの損傷は肩関節周囲の損傷では無いことが判断でき、加速期へ移行した瞬間に痛みが発生したと言うRYさんの損傷のメカニズム、「激しく痛みが走る」と言う痛みの説明、そして液窩後壁と肋骨に沿って撫でる動作から筋膜組織の歪曲タイプに分類され、複数存在する損傷に対する、数回の積極的な矯正によりシャドウピッチングが症状なく出来る様になったRYの施術は、“翌日に登板しなければいけないかも知れない”と言う理由から、野外で実際に投球しながら引き続き行われました。
RYさんがオフィスを訪れたのは20時を過ぎていましたが、車のヘッドライトでライトアップして行われました。更なる攻撃的な施術の後、RYさんは症状なく全力で投球することが出来る様になりました。翌日RYさんの登板は回ってきませんでしたが、これは幸いでした。
一週間後、RYさんは再び投球練習中に症状を発生させオフィスを訪れました。RYさんの症状は、一週間全く発生していなかったのですが突然再発しました。「なぜ再発したと思う?」と尋ねるとRYさんは「腕の振りの角度が少し変った時に痛みが出た」と答えました。
まだ中学生とは言え、長年野球をしてきたRYさんの投球フォームが時折変化するとは思えません。考えられることは踏み込んだ足の位置でした。
マウンドやブルペンでは、踏み込んだ足の位置に穴が出来ます。投球時に少しバランスを失い踏み込む足の位置が変化することは良くあります。RYさんの場合、踏みこんだ足の誤差によりマウンドに出来た穴に足を取られ、バランスを崩すことにより体の開きから腕の振りが遅れ腋窩の筋膜組織を引き伸ばし、それにより損傷を再発させたと考えられます。
この残された筋膜ディストーションを矯正するため、RYさんがどのようにバランスを崩したときに症状が発生するのか、それを観察するため再び野外での施術となりました。症状が発生した後、RYさんはそのバランスを崩した姿勢を強調した姿位に案内され矯正が行われました。
その後RYに症状は発生していません。
|
スポーツ障害のトップページへ戻る |
|
管理者 田中啓介,FDM.O. (たなかけいすけ) |
Page-TOP |
|